今までありがとうございました!
スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。






--⁄--⁄--(--) --:--   スポンサー広告 | | | ↑Top
境界線


続きまして全ツフェルナンドくんについて。




私がこの公演を全ツまで観に行ったのには理由がいくつかあるが、
その中の一つに「全ツのフェルナンドを観てみたい」というのがあった。

大劇場公演初日からずっと(東宝は観てないけれど)変化をし続ける彼の、
いわば「最終形」というのを、是非見たかったのである。

ムラ初日の真面目人間フェルナンド、
中盤あたりの元ヤンのようなフェルナンド(今はもうOGだぜ夜露死苦!風)、
後半の心に暗闇を持っているフェルナンド…
それは時に判別ができないほど変化し続けた。
その、最後の姿。それをこの目で見たかった。

それはとても素晴らしかった。

正直に書くことを許してもらえるのなら、
とても素晴らしい犯罪者の姿だと思った。

それは意図して演じているのか、それとも私にそう見えただけなのかはわからない。
けれどあの人は心の中に明確な闇を持っていた。

あの人は人当たりの良い人であるのと同時に、
自分の道を塞ぐ者を無心で斬れる人でもある。
オペラ座のファントムが、カルロッタを殺した後にクリスティーヌに笑顔を向けるように。

そんな心の闇を薄いオブラードで包んでいる様に、身震いした。

芝居を「観客」として見ている自分にしかわからない闇。
そしてそれを見つけてしまったという恐怖。
Yさんが意図してやってないにしても、意図して演じているにしても、
どっちにしろすごい次元に足を踏み込んだなと思う。

特に印象的だったのは、フェルナンドの誓いの前の場面だ。
マルガリータが信じていますわ、と去って行く場面。

フェルナンドはマルガリータに嘘をついたことを少し後悔しつつ、彼女の名を呟く。
ムラ公演では明らかに対彼女に言っていたこの台詞が、
まるで自分でも聞こえていない様な、ただの呟きに近くなっていた。

「マルガリータ…」と手を差し伸べるその先に、彼女の姿は見えていないのだ。

確かに彼女の名を口にしているのに、その目にも、頭の中にも、心にも存在しない。
代わりにあるのは、闇。

そう、あの黒いカーテンで仕切られているのは外の世界と彼の闇。

あのカーテンが彼の闇の境界線なのだ。

全国ツアーという限られたセットの中で、背景のレベルのアレさについては酷いものがあるよな、と思わずにはいられないのだが、
上記のような新たな発見が出来たのもまた事実である。

だから、あの場面はフェルナンドの怒りを見せる場面ではなく、
彼が自分の闇の中で自分の心を語る場面なのだ。
怒りに任せて復讐を誓うのではなく、自ら進んで闇を選び取るんだ。

その様があまりにも美しくて、闇に浮かんだサファイヤの様だった。

(私がこの公演に関してあまり嫌悪感を感じないのは、このお芝居をヒーロー物として見ているわけではなく、ある一芝居というか、それこそドラマの様に見ているからだと思う。
こう書いては本当に変な人に見られるだろうが、犯人の動機ほど知って面白いものはないのだから。)

おそらくあの人が「無心で敵を斬れる」様に見えるのは、
フェルナンドが涙が枯れきって枯れきって、心が渇いてしまっているからだ。
悲しいとか、憎いとか、そんな稚拙な感情は当の昔になくなってしまったのだ。

遠征までして観に行って本当に良かったと思っている。
これほどまでにYさんの演技が変化するとは思っていなかったし、
また他の人の演技も変わるとは思っていなかった。

でもふと思ったのが、このYさんの変化っぷりはもしかしたら、
フェルナンドだからこそかもしれないということ。

今の時代から見たら二股のサイテー男(おまけに犯罪者)だが、
そういう一筋縄ではいかない役だったからこそ、Yさんにとって試行錯誤しやすかったのかもしれない。
そういう意味では彼にとっても良い役ではあったんじゃないだろうか。

ただ美しいだけのヒーローばかりじゃつまらない。
綺麗ごとだけじゃあ面白みが無い。
誰しも一人一人自分の人生があり、物語がある。

このお話は、そのただ一人の男の人生を描いた作品であった。
その刹那的に生きた人々が、私には愛しくてたまらなかった。










2007⁄11⁄24(Sat) 23:26   ├バレンシア/FANTASISTA! | | | ↑Top

| HOME |


イチヒ

  • Author:イチヒ
  • 詳しくはコチラへ→イチヒのプロフィール


    ●観劇はムラ側。
    ●腐がつく女子。
    ●キレイなものが好き。
    ●オモロも好き。
    ●ツッコミが出来ない関西人。
    ●そのくせ記事ではよくツッコミを展開。
    ●でもツッコむポインツが他人とずれている。
カウンター

太陽と共に

LOVE

   

月別アーカイブ

ブログ内検索

↑Top



Copyright © 2017 明日は明日の風が吹く。. All Rights Reserved.

 Template by nekonomimige & BLAN NOIN
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。